第1話を視聴してみて色鮮やかな表現で綺麗だととても印象に残った本作。
近未来の世界から魔法を使い60年前の過去へ飛ばされるという展開も興味があり、どんな内容の作品になるのか楽しみです。
オンデマンドサービスではAmazonPrimeVideoが独占配信し、地上波ではMBS及びTBS系列でのみの放送なので視聴する為に少しハードルがあるのが残念ですが、個人的におすすめのアニメ作品です。
第1話「キミノイクベキトコロ」あらすじ
幼い頃に色覚を失ってしまった、魔法使い一族の少女・月白瞳美。祭りの夜、彼女は祖母の琥珀から「高校2年生の私に会いに行きなさい」と告げられ、魔法で60年前の過去へと飛ばされる。気づくと彼女は、南ヶ丘高校に通う高校生・葵唯翔の部屋にいた。自分の身に何が起きたかわからず、あわてて部屋から逃げ出す瞳美。しかしその姿が、唯翔の友人である川合胡桃たちに目撃されていて……。
感想「見なければもったいない!丁寧に描かれた色鮮やかな世界」
過去への旅
花火大会の日、おばあちゃんと見に行く予定だった月白瞳美が花火がもう始まってしまうというのにおばあちゃんには「まだ準備があるから先に行っていて」と言われ、1人で花火を見るために丘を登っているところから本作は始まります。
打ち上がる色とりどりの花火、水に浮かぶ水風船、屋台の林檎飴などとても綺麗な風景とゆったりとしたBGMがとても印象的です。
やや近未来的な街並みも不思議と違和感がなく自然に視聴することができます。
しかしそんな綺麗な風景も月白瞳美には色褪せて見えているのでした。
1人で花火を見ていた月白瞳美の元へ「おまたせ」とおばあちゃんが現れます。
おばあちゃんが準備していたものは時間魔法の道具の1つ『星砂時計』でした。
今日この日の為に60年間満月の光を浴びさせ続けていたとおばあちゃんは語り、「新月の夜に満月の力を借りるなんて、矛盾した魔法だと思わない?」と嬉しそうにおばあちゃんは微笑みます。
そしておばあちゃんは「あなたは今から高校2年生の私に会いにいきない」と月白瞳美に言い、理由も明かさず承諾も得ずに魔法で過去へと送り出すのでした。
のんびりと始まった物語のいきなりの急展開に驚きです。
バスの中でのやり取り
月白瞳美が気が付くとそこはバスの中でした。
窓から見える外の景色は数々の記憶のようなものが映し出され、不思議な世界を旅していました。
そしてバスは「いま」に到着します。
バスの運転手は人ではなく、「ここはどこですか?」と月白瞳美が口にした問いに「君の行くべきところ」と答えます。
言われるがままにバスを降りようとした月白瞳美でしたが、バーが閉まり運転手は「無賃乗車は犯罪です」と言うのでした。
電子マネーのリーダーはどこですかと運転手に尋ねた月白瞳美でしたが、バスは現金のみしか取り扱っていませんでした。
このシーンで月白瞳美が「現金ってなんだっけ?」とセリフにしているところから近未来の話だということがよくわかります。
ただその近未来の世界から60年前に送られてしまっているのですが…。
途方にくれてしまった月白瞳美でしたが、手にもっていたお菓子に運転手が反応し、「これ、じゃあダメですか?」と聞いてみると運転手は「おおきに~」とうれしそうに受け取り下車を許すのでした。
バスのシーンは千と千尋の神隠しを思い返してしまいました。
バス停の表記なんかもちょっと似てますよね。
月白瞳美が居た世界は通貨が完全に電子化していることも現金を知らないというセリフからわかります。
月白瞳美の持つ常識のズレ
バスから降りるとそのまま月白瞳美は足が地面につくことがなく落下してしまいどこかの部屋に落ちてしまいます。
知らない部屋に「ここ、どこ?」と口にした月白瞳美に携帯していた端末が答えます。
端末「場所を特定できません。通信障害により位置情報を取得できません。最後に更新された位置情報は必要ですか?」
瞳美「いい。じゃあ今日はいつ?」
端末「日付を特定できません。通信障害により時刻情報を取得できません。最後に更新された情報は必要ですか?」
端末と現状を確認をしながら2018年のカレンダーを部屋の中で見つけた月白瞳美でしたが、部屋の主が帰宅した物音を聞き、とっさに部屋から脱出しようとするのでした。
しかし月白瞳美は窓の開け方も知りませんでした。
仕方なくベットの下に隠れて部屋の主をやり過ごし電話に出ている隙に窓をなんとか開けて部屋から屋外にでることに成功します。
窓の開け方もわからないのかーと思ってしまいました。
どうやら月白瞳美のいた世界と現在の常識にはかなりのズレがあるようです。
『まほう屋さん』まで道案内を頼むことに
写真美術部に所属する川合胡桃は部活動中に同じ部活仲間の葵唯翔の家の窓から見慣れない女の子が出て行く所を目撃し、すかさず手にもっていたスマホで写真に収めます。
ゴシップな話題をすぐに同級生達に拡散してしまいます。
一方で外に出る事に成功した月白瞳美は今まで自分が住んでいた街と同じ場所だとわかり本当に過去に来たことを確信します。
しかし同じ街でも違う街並みに迷ってしまいます。
先程撮った写真を見せながらコンビニの前でミーティングをしていた川合胡桃は状況を憶測しますが、一緒にいた山吹将がちょうどその写真の女の子を見つけてしまいます。
その女の子は道に迷っている様子で山吹将は放っておくことができず、声を掛けるのでした。
月白瞳美は彼女に声を掛けてきた写真美術部の3人に『まほうさん』まで案内してもらう事にするのでした。
風野あさぎに渡された絆創膏を見て月白瞳美が「これなんですか?」と口にしていたので月白瞳美がいた世界には絆創膏がなかったんだなとわかりました。
ただここまで月白瞳美のいた世界はどんなところだったのだろうと言葉の節々から想像していますが、物語の展開がしばらく「いま」に留まることになりそうな予感がするので、「月白瞳美は常識に疎い」という認識だけで大丈夫なような気がします。
月白琥珀の所在
案内の途中で写真美術部の活動の話や葵唯翔との関係を勘違いされながらも月白瞳美は目的地である『まほう屋さん』に辿り着きます。
『まほう屋さん』は多くの人で賑わい繁盛している様子でした。
月白瞳美は自分を過去に送り私に会いなさいと言ったおばあちゃんである月白琥珀を訪ねる事にします。
「こちらに月白琥珀さんって…」と所在を伺いますが、なんと月白琥珀は現在イギリスに留学しているとのことでした。
一方的に過去へ送り出したおばあちゃんは結構やんちゃな人柄みたいですね。
まさか自分がそこにいない時間に送り出すだなんて、大雑把なところがあるのかなと思います。
その事実を聞き1人『まほう屋さん』を後にしようとする月白瞳美でしたが、月白琥珀のおばあちゃんに引き留められ手紙を渡し事情を話すと「まほう屋さん」にしばらく置いてもらうことになるのでした。
葵唯翔との出会い
翌日、おばあちゃんからもらったアズライトを失くしてしまった月白瞳美は外へ1人探しに出かけます。
月白琥珀の母に失くしたものを見つける魔法の薬をもらい、それを振りかけるとアズライトは最初にこの世界へやってきたときに落下した部屋に落としたことが分かります。
朝の月白家でのやり取りでもしかして月白瞳美は魔法が使えないのかなと思いました。
月白瞳美が葵唯翔の家に辿り着いた時はちょうど彼が出掛けるところでした。
彼の手には探し物であるアズライトがあり、仕方なく月白瞳美は彼の後をつけることにしたのでした。
公園で作業をする葵唯翔に意を決して近づくと彼はタブレットで絵を描いており、色覚を失っていたはずの月白瞳美はその絵を見ると繊細な色彩に引き込まれてしまうのでした。
絵に見とれ我を失っていた月白瞳美は葵唯翔の「誰?」という言葉で現実に引き戻されます。
これが月白瞳美が『いま』に来てから微妙にすれ違ってきた2人の出会いでした。